あえて無視するキミとの未来 〜Relay broadcast〜



初めに
私はこの作品は好きですけど、通常のレビューもこちらも爽花に
 
対する内容が雑に見えてしまうと思います。しかしそれは別に
 
爽花が嫌いと言う訳ではなく七凪や計の方が印象的で、そちらに
 
関する事にリソースを割いて書いてしまうためと言う事をご理解
 
下さい。また、キャラクター同士のやり取りの素晴らしさを大変
 
評価していますので、キャラクターの部分が少々暴走気味になって
 
いる点も合わせて納得された方のみこの続きを読んで頂いた方が
 
いいと思います。

総評
通常のレビューでも書きましたけど、未来視の設定が爽花の個別
 
ルート以外の個別ルートでほぼ死んでいたのが残念です。しかも
 
何だかんだ言いながら 南、七凪、計。それぞれの個別ルートでは
 
主人公やヒロインの内面や葛藤。心情と言った部分にスポットを
 
当てながら青春していたのが印象的で、未来視不要論を支持したく
 
なってきます。ただ、この作品の魅力はそこではなく、登場人物の
 
グダグダで楽しいやり取りと随所で魅せるカッコ良さや可愛さだと
 
私は思っていますが。後は個別ルートが 重すぎない 所も評価して
 
います。特に計の個別ルートはそこまで長い訳ではないので気軽に
 
再プレイがしやすく、必要な部分はしっかりと描写されています。
 
若干の物足りなさはありますけど、これぐらいで終わっていたから
 
こそグダグダにならなかったかなとも思っています。

シナリオ
改めて考えると計は少々微妙ですが、南、七凪、爽花。それぞれが
 
色々と問題を抱えている訳です。そしてそれらを各個別ルートで
 
解決していく訳です。個人的には七凪の個別ルート終盤の、あの
 
孤児院関係の件は七凪と主人公の関係性を考えるきっかけになり
 
本当の意味での家族と恋人を主人公が手に入れたと思っています。
 
南の個別ルートでは、周囲の理想や嫉妬と言った感情に振り回され
 
ながらも南は自分の気持ちに正直に向き合った所は印象に残って
 
います。計の個別ルートは半分ぐらい流々に持っていかれた感じは
 
あるんですけど、2 種類の幼馴染のシナリオを上手く 1 つの個別
 
ルートにまとめていましたね。幼馴染と言うのは大きく分けると
 
ずっと一緒にいる形と途中で何らかの事情で離ればなれになって
 
再会した形になると思います。今回の場合だと計が前者。流々が
 
後者になります。近すぎるから気づかない想い。離れていたから
 
こそ気づく想い。計と流々と主人公の 3 人の幼馴染の関係性を
 
あえてドロドロさせずに、綺麗な青春と言う形で終わらせた事に
 
ついては色々と言いたい事がある人もいるかも知れませんが、私は
 
文句はないです。個人的に好きな個別ルートの中でも TOP 10 に
 
入る程です。さて、ここまで 3 人の個別ルートについて書いて
 
きましたけど未来視についてちっとも書いてないですね。そもそも
 
未来視要素が少ししか出なかったので書きようがないんですけど。
 
流石に爽花の個別ルートでは、未来視についてそれなりに出ては
 
きますが、余程特殊なプレイをしない限りは計の個別ルートの
 
後に爽花の個別ルートをプレイする形になるので、爽花の個別
 
ルートのインパクトと言うか印象が薄くなってしまう人が多く
 
なると思います。そのため、ますます未来視の印象が薄くなると
 
言う悪循環に陥ります。結局、シナリオでは未来視がどこまでも
 
足を引っ張り 残念だけどちょっとうらやましい恋愛青春劇 を
 
上手く描写出来ていた計の個別ルートの評価が、高くなるのも
 
ある意味では仕方ないのかもしれませんね。

グラフィック
あえて何度でも書きますけどロリコンじゃなくても七凪の幼少期の
 
一枚絵は可愛いと思えるはずです。現在の七凪の一枚絵も悪くは
 
ないですけど、幼少期の方は 破壊力 がさらに上がっているとでも
 
言えばいいですかね。それから計の個別ルート終盤の計と流々の
 
別れのやり取り時の一枚絵での最後の流々の笑顔は色々と心に
 
くるものがありました。後は南の個別ルートのラストのプールの
 
一枚絵で笑っている彼女の 破壊力 も凄まじいです。

音楽
再度になりますが、オープニングの SIGNAL の on piano は
 
やっぱり良いですね。特に計と主人公が流々と別れるシーンで
 
アレを流したのは英断だったと思います。ですが、その前の流々の
 
自分の思いを独白するシーンで流していた 未来が見えても も
 
良いBGMでした。

キャラクター
さて、ここからはギアを上げていきたいと思います。とりあえず
 
ヒロイン達は後にして主人公からいっちゃいますかね。沢渡さんは
 
未来視など色々な物を抱えながらも多くの人に恵まれて、それに
 
気づく事ができたからこそ本編開始時の感じになったと言うのが
 
全個別ルートをプレイし終わった後に思いました。計や流々との
 
小芝居もそこに至るまでに計や流々が沢渡さんとの信頼を得た
 
からこそ出来る事ですから。次はサブキャラクターですね。湯川
 
会長や南の父親である薫は主に南の個別ルートでの言動が印象的
 
でした。水泳部と沢渡さんの間で発生した問題での湯川会長や
 
薫の言動は中々良かったですし、正直な気持ちを知る事ができた
 
からこそ、南の個別ルートはああ言った結末を迎えた訳ですし。
 
鬼藤先生こと小豆ちゃんも普段は色々と問題発言が多いですけど
 
いざという時には、学園の体面よりも生徒を優先したあの発言は
 
好きですね。そして 地味子 御幸 祥子。この作品のサブ
 
キャラクターの中で私が一番好きなキャラクターです。立ち絵での
 
表情の変化とか穏やかで優しそうな眼鏡っ子って言うのは個人的に
 
ポイントは高いですが、ボイスもキャラクターに合っていましたね。
 
彼女にもっと美味しい役どころを与えて欲しかったのですが現状の
 
地味なためにたまに名前を忘れられる所も、美味しい役どころと
 
言えるのかもしれないですけど。そして忘れてはいけない修二に
 
ついてです。ヤクザ顔ですが、学園の屋上で沢渡さんと殴り合いで
 
友情を深めると言う青春全開な事も経験した事もありBLじゃない
 
ですけど、沢渡さんの一番の男友達と言っていいですね。多少は
 
喧嘩っ早いですしいじられキャラですけど色んな場面で沢渡さんの
 
手助けをしている所を見れば自然に好きになれるはずです。後は
 
出番こそ少ないですけど、沢渡さんの師匠でもあり爽花の姉も
 
忘れちゃダメですね。沢渡さんに性癖といくつもの教訓を教えた
 
初恋の相手ですから。そして、サブキャラクターの最後を飾るのは
 
田中さんこと流々ですね。もう準ヒロインと言っても過言では
 
ないんですけどね。計の個別ルート終盤は流々が中心になって
 
ましたから。流々はツッコミとボケ以外にも家事や放送に関する
 
知識。幼い弟と妹がいる関係で面倒見もよく、胸以外はスキの
 
ないスペックと言えると思います。そんな彼女の秘めたる思いが
 
沢渡さんと計に発覚してしまうのが計の個別ルート終盤ですが
 
最後まで沢渡さんと計の関係を応援して駆け抜けきった彼女は
 
素晴らしかったと言えますね。さて、ここまでは準備運動です。
 
いよいよ 4 人のヒロイン達について書いていきたいと思います。
 
まずは七凪からです。幼少期に沢渡さんが歪んだと言うか過剰な
 
愛情を注いだためにひねくれたブラコンになっちゃいましたけど
 
あの幼少期の素直さを見れば沢渡さんの対応もしかたないかなと
 
思っちゃいます。現在は基本的なスペックは高いですし、意外と
 
押しに弱かったり純情だったりもするのでそこもポイントは高い
 
ですね。次は爽花についてです。どうも印象が薄くなってしまい
 
ますが、本来は黒髪ロングで少々熱血気味で暴走しかける所も
 
ありますけど、基本的には真面目でいい子です。しかし、この
 
作品のヒロイン達はどいつもこいつもクセと言うかインパクトが
 
強すぎるので周りに埋もれてしまいがちです。未来視関係に尺を
 
さいたために私としては好きになっていく過程の描写がやや雑に
 
感じたのも影響していると思いますが。次に南です。彼女はもう
 
沢渡さんも言っていましたが、スーパークールビューティーな
 
女神様です。そんな女神様で童貞を捨てちゃっているんですから
 
沢渡さんは一度、修二にボコボコにされればいいんです。さて
 
脱線しましたが、南も沢渡さん程ではないにせよ色々と抱えて
 
いる物があります。それらを解決してからのプールで見せた南の
 
笑顔は…ねぇ。もう 素晴らしかった ですよ。もはや女神を超越
 
しています。さてさて。最後は計で終わります。オ○ニーがばれて
 
色々とあったり、普段のボケとアレな言動もあったりしますけど
 
ここぞという時にしっかりと沢渡さんを包み込む聖母のような
 
優しさと健気さは普段との ギャップ で私を的確なまでに殺しに
 
きてます。実は別のエロゲのとあるヒロインが私の中での 1
 
CV 桐谷華なんですが、次点は間違いなく計です。駄幼馴染感に
 
加えてテンションの切り替えやテンポのいい掛け合い。計と言う
 
キャラクターに必要不可欠な部分を十二分に表現していた所に
 
改めて脱帽してしまいますね。桐谷華談義になってきているので
 
元の計についての話に戻りますが、沢渡さんとの小芝居や乳繰り
 
合いと言ったやり取り。長年の関係性からの互いを理解している
 
感じ。そしてそこから一歩を踏み出して恋人と言う関係への変化。
 
そのきっかけとなった本編開始一年前のやり取りはもう何と言うか
 
えげつなかったです。そしてそこからの告白シーンでのやり取りは
 
普段の 2 人の関係と違うように見えて、実は変わらない感じ。
 
あれも良かったです。ですが何と言っても計の個別ルート終盤の
 
タイムカプセル事件から始まる一連の流れ。あれは完全に流々の
 
独壇場の雰囲気でしたけど最後の沢渡さんと計が流々と別れる
 
シーンで「あんた、本当はタク、好きでしょおおおおっ?!」と
 
計が流々に言うシーン。その後、流々に私がタクの事を好きと
 
言ったら譲るのかと聞かれて 譲らない と言った後でのタクが
 
あたしより流々が好きになるかもしれないと言った後からの
 
「あたし、死ぬほどタクが好きだけど!それでも流々なら。あんた
 
なら、まだ納得できるよっ!言いなよ!ずっと好きだったんで
 
しょう?!このまま、さよならなんて、悲しすぎるでしょう?!
 
言っていいよ!あんたなら、いいっ!」この一連の計のセリフは
 
素晴らしかったですよ。本当に。しかしこのセリフの流々の返答。
 
まず「……」の部分の息遣いで、流々の覚悟が決まってからの
 
「ーー計とずっと仲良くな!」これは素晴らしすぎます。最後の
 
最後まで流々は貫いた訳ですからね。改めて流々に称賛を送り
 
たいです。最後の最後で流々の話に言っちゃいましたけど計が
 
素晴らしいヒロインだった事は不変の事実です。改めてこの
 
素晴らしいヒロインを生み出した作品に感謝しながら今回の
 
主観的作品紹介を終わりたいと思います。

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